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転載元:http://www.zakzak.co.jp/spo/news/181024/spo1810240010-n1.html


10月21日に全日本実業団対抗女子駅伝予選会が福岡県で行われました。

テレビ報道でご存知とかと思いますが、岩谷産業所属の飯田怜選手(19)が
競技中に転倒し、両足を血まみれになりながら這ってタスキをつないだのですが、
この事に賛否両論の意見が出ています。
(転倒して骨折したか疲労骨折で転倒したか原因は不明)

第2区を任された飯田選手はゴールの200数十メートル手前で転倒し、走れなくなり、
はって、次の選手にタスキをつないだのです。
この様子をテレビで見ていたチームの広瀬監督は棄権の意思を主催者側に
伝えたのだが、その伝達が審判団に上手く伝達できず、
飯田選手に監督からの指示が届いたのはゴール20メートル手前だったそうです。
しかし、飯田選手は「やります」とゴール目指して這い続け、
結果は最下位ながらタスキを次の選手に渡すことが出来たのです。

これにたいして、ある審判はゴールさせてやりたかった旨の発言をしているようですが、
「よくやった」という意見と「審判にはそんな権限はないだろう」と真っ向から意見が
分かれているのです。

状況は違いますが、これに似たような経験を僕もしたことがあります。
まだ役者をやっていた頃、千葉県の白浜でドラマの撮影があったのですが、
前の晩から熱を出し、朝起きて熱を測ったら40度近かったのです。
でも、現場に行かないと撮影が中止になり撮影隊に迷惑を掛けるので、
行くなと言うマネージャーの静止を振り切り、
何とか東京駅まで行き特急列車に乗ったのですが、
もう、歩いていても雲の上を歩いているようで地に足がつかない?状態でした。

案の定、歩きのシーンを撮っていても「まっすぐ歩けよ!」って監督には怒鳴られるし、
頭はガンガンするけど、熱があるなんて絶対言えない。

助監督が「大丈夫ですか?すぐ病院の手配をします」と、言うので
スタッフに知れ渡るとまずいので「熱があるので、このシーンを撮り終えたら
東京に帰りますから、他のスタッフには内緒にして下さい。
明日の出番までには必ず戻りますから」と、無理やり東京に戻り、
すぐ病院に駆け込んだのです。
「今すぐ熱を下げてください。明日朝一から撮影あるんです。
僕がいないと撮影現場が大変な事になるんです」「お願いします。先生」って、
言ってることが滅茶苦茶でした(笑)

先生は女医さんでしたが、必死に頼み込む僕の気持ちを理解してくれ、
点滴をしてくれました。その間、どのくらいの時間なのか分かりませんが、
診察台で点滴をしたまま眠ってしまったようです。

目が覚めると、「よく寝てたわね。点滴のなくなるのがすごく早かったわよ」って
先生が笑っていた。
起き上がると、体は軽くなるしガンガンしていた頭もスッキリしてるし、
もう、快調そのもの・・・・。「先生、ありがとうございました」
「若いからって無理しちゃだめよ」
「ドラマの放送日が分かったら教えて頂戴、楽しみにしてるわ」って、言ってた。
もう、神様のような先生でした。
その夜、マネージャーに白浜まで車で送ってもらい、翌朝、素知らぬ顔をして
カメラの前に立ったことがあります。

で、話はもどりますが、途中で転倒した飯田選手は、もし途中棄権すれば
チームに迷惑がかかるし、何としてでも、タスキを繋ぎたかったのではないかと思うのです。
おそらく、監督が彼女のそばで止めろと言っても、
彼女は這い続けたのではないかと思います。
何とかゴールさせてさせてやりたいと思った審判は、色々世間からは批判されていますが、
あの状況下で、彼女の意思を遂げさせてやりたいと思う気持ちは
分かるような気がします。

しかし、今時の選手ファーストの考え方とすれば、あの判断は間違いだとも思えるのです。
だって、いくら選手の意思だからとはいえ、監督は棄権しろと言っているのに、
ゴールさせて飯田選手の身体に障害でも残ったらどうするのですか?
審判は無理にでも、彼女を静止するべきだったのです。

今回のアクシデントは美談ではないと広瀬監督は言っていますが、
監督の立場からすると全くその通りだと思います。
もしかしたら、飯田選手は監督からかなり怒られたのではないかと・・・・。
怪我を負って可哀そうだけど、それも仕方ないのかも知れない。

僕は、這って黙々とゴールを目指した飯田選手の根性と
その状況を見ながらタスキを待つ今田麻里絵選手の涙が忘れられません。

なお、飯田選手は右脛骨の骨折の為全治3~4か月だそうです。
これにはチームスポンサーである「岩谷産業」が全面的にサポートするそうです。

1日も早く怪我を治して、若きエースとして頑張ってほしいです。