SAYA072155409


「私に何か隠し事してるでしょう?」
 M子から怒りの電話がかかってきた。

「私に一言言ってくれてもいいんじゃない?」
「M子、何のことだよ。」
「ごまかさないでちゃんと答えて!」
 M子が怒りだすと、収まるのに時間がかかるんだよな(笑)

 実は、昨夜、M子の父親から新宿のホテルのラウンジに呼び出されたのですよ。
 
 その事がM子の耳に入ってしまったらしいのです。
 M子に内緒で会った事が面白くないらしい。嫉妬か?(笑)

 KホテルのラウンジにM子の父親が待っていた。
「この前はわざわざ家に来てくれてありがとう。久しぶりに楽しい時間を過ごせたよ」
「こちらこそ、昼食までご馳走になりありがとうございました。」
「ところで、今日来てもらったのは、君に頼みたい事があるんだ。」
「えっ?私が何か?」
「そうじゃないんだ、君が忙しいのは分かっているんだが、
 君に仕事を手伝ってもらいたいんだよ」
「えっ、私にですか?」

「この事は娘には内緒にしてほしいんだが、近い内にM子を社長にしようと
 思っているんだ。」
「だが、娘はまだ若いし、社長をやらせるには荷が重すぎるから、
 娘をフォローしてほしいんだよ。」
「ずっと、適任者を探していたんだが、君が家に来て話しをしている内に
 M子をフォローできるのは君しかいないって確信したんだよ」
「君は前の会社にいた時も、相当な実績を上げていたと娘から聞いているし、
 君の言う事なら娘も素直に聞くと思うんだよ。」

「いや、そんな大事なことを急に言われましても、自分の仕事もありますし」
「君も仕事が軌道に乗り、大変な時期なのは私も十分理解しているつもりだよ」
「無理を承知でお願いしているんだ。少し考えてくれないか?」

「週に何度か会社に顔を出してくれれば、それでいいんだよ。」
「娘も君の顔を見れば安心するだろうし、
 君にはそれなりのポストを用意させてもらうつもりだ。
 何とか娘を助けてくれないだろうか?」

 突然の話しに・・・ちょっと動揺した・・・M子が社長になるのは予想していたけど、
 僕が巻き込まれる?とは・・・・この展開は予想できなかった。

 で、M子の怒りは依然として収まらない。
「なんで、父と会った事を隠すの?」
「いや、隠してなんかないよ」
「嘘!父と会ったでしょう?」

「○○さん、M子とお付き合いしているんですよね?」
「私の父と付き合っている訳じゃないですよね?」
「私が邪魔なんですか?!!」
 もう、M子の怒りがおさまらない(T . T)

 しばらくして、泣き虫M子がメソメソ泣き出した。
「こんなに、怒る私が嫌いになったでしょう?」
「もう、会ってくれないですよね。終わりですよね。」

「大丈夫だよ。M子の気が済めばそれでいいんだよ。」
「だって・・・・・。」
「悪かった。黙っていて。お父さんから口止めされていたんだよ。」
「やっぱり。父のやりそうな事だわ」
「ごめんなさい怒って。だって、○○さんが、お父さんに取られそうで嫌なの」

 M子の父親と僕が会った事はM子の母親から聞いたらしいです。
 子供が玩具を取り上げられたみたいに怒っていたけど、
 それだけ大事に思われてるって事なの?僕(^◇^;)
 
 口止めされていたから話の内容までは話さなかったけど
 M子は勘のいい人だから、きっと話の内容を察しているんだろうな。

 話しを断るわけにもいかないし・・・・・新たな悩み事がまた一つ増えた。
 アシスタントには何て言えばいかな・・・・。
 「お好きなようになさればよろしいのでは」な〜んて言われるんだろうな(笑)

 どうすればいい?自分。